AIオペレーターの電話代行サービスはどこまで進んでいるのか?
AI、機械学習、ディープランニングを用いたサービスが私達の身の回りにも姿を表し目覚ましい進化を遂げています。例えば Adobe (アドビ) 社では、Creative Cloud と Document Cloud でコンテンツ分析やパターン認識などの機械学習技術を使用して、機能の提供や製品およびサービスの改善を行っています。それにより Photoshop での加工技術やスピードが爆速でアップし、誰もが簡単に以前は時間を要した作業をさくっと行えるようになっています。
またドイツに拠点を置く企業が開発した機械学習を用いたオンライン翻訳サービスの「DeepL翻訳」は、2017年のサービス開始後、新たに日本語と中国語の翻訳に対応しました。機械学習を用いることで、例えば大阪弁でも英語に翻訳できるようになっています。
電話代行の世界でも着々とAIが浸透してきています
様々な分野で AI、機械学習を用いたサービスが増えていますが、電話代行の世界でも徐々に AI を駆使したサービスがローチンされています。アメリカでは2018年に Google が発表した新サービス「Google Duplex」が大きな話題を集めました。Google Duplex とは、AI がユーザーに代わり電話応対する技術のことで、Google のモバイル端末 Google Pixel のスマートフォンで同年一部ユーザーの間でサービスの利用が開始されました。
Google Duplex が主なターゲットとしているのは、音声AIによるホテルやレストランの予約をメインとしています。しかしサービス開始が1年経っても、AI側の準備は追いついておらず、通話全体の25%をコールセンターのオペレーターが対応しており、AIが対応処理しきれずに人間が介入していることが明らかになっています。Google Duplex の音声AIは未だトレーニングを続けている段階とされています。
日本に置ける AI オペレーターによる電話代行サービスの事例
ディープラーニングを活用し音声から価値を提供する、国立研究開発法人産業技術総合研究所発ベンチャー Hmcomm 株式会社は、新型コロナウィルスの感染抑止対策として、テレワークや在宅勤務を実施する企業向けに、AI音声自動応答システムによる電話代行サービスを開始することを発表。(出典 : PR TIMES プレスリリース)
Hmcomm 株式会社が手掛ける、AIオペレータ「Terry」のサービス内容は以下の通りで、
・電話を無人かつ24時間体制で受けることが可能
・受電内容 (お客様のお名前、電話番号、ご用件など) を独自の音声認識によりテキスト化、即時に Slack で通知
・Web経由で電話の内容をテキストで確認することもできる
(本サービスは、お申し込みから、最短2~3営業日にてサービス稼動が可能となっている)
(画像出典 : PR TIMES プレスリリース)
中小企業などを専門にしている電話代行会社の格安プラン (月3,000円くらい) 並みの応対、通知内容となっています。人間のオペレーターに比べると、24時間稼働できる点やスピーディーに展開できるのが魅力だと思います。
日本でも新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、3月中旬には NTT のコールセンタースタッフが新型コロナウイルスの感染が確認され、その後次々に同社内で感染者の確認が続きました。こういった未曾有の事態が起きたときに AI を駆使した電話代行サービスがあると危機に備えることができます。
しかし現在国内外で報告されている AI を駆使した電話代行は、企業などスマホを使用した予約サービスの電話応対が主な用途となっており、中小企業が安心して使えるような AI の電話代行サービスは出てきていません。今後更に AI 技術が進めば出てくるかもしれませんが、人間の会話を理解して、その業種や会社の的確な情報を返すようなことは、まだヒューマンな人間にしかできないのではないでしょうか?
そのことからも、日頃より信頼できる電話代行会社をパートナーとして契約しておくことが大切かと思います。先の NTT コールセンターの感染を受けて、対応の早い優れた電話代行会社では、電話秘書の勤務体制を在宅のテレワークの体制に変更し、この新型コロナウイルスの危機を乗り越えようとしています。